早いもので、父が亡くなって一年が経ちます。
いまは、悲しみに沈んではいません。引っ越しもしました。新しいお友達もできました。息子は3歳になりました。時間は誰の上にも平等に、過ぎていきます。生きていれば。
ちょうど一年前のあの日。父の危篤の報を受けて、私は必死にスーツケースに荷物を詰めていました。そして荷物を用意し終える前に、訃報を聞きました。
飛行機に乗って実家に戻ると、家の中にはお線香の煙が立ち込めていました。そして、棺に入った父と対面することになりました。
父が生きている頃の映像は、見られません。私の心の底で眠っている、身をひっかくような辛さを呼び出してしまうような気がして、再生ボタンが押せません。写真ならまだ大丈夫です。孫と一緒に写った写真は、どれもとびきりの笑顔です。
私が幸せに暮らすこと、そしてふと父を思い出すこと、これが最高の供養になるように思います。